ここ数年で婚礼の現場も新しい音響・照明の演出が色々と出てきました。使用機材も新しいものが続々と登場しています。
ただ、婚礼の現場の音響機材は、デジタルミキサーを使用している会場もありますがごく稀で、アナログミキサーがまだまだ主流です。チャンネル数が6chしかないミキサーを使用している会場もあれば、コンサートホールさながらの大型機材を導入している会場もあります。
デジタル卓もアナログ卓もそれぞれにいいところがあります。便利なものや新しいものがいい、というわけでもありません。会場の特性や設備を活かしながら、いかに心地よい音楽をお客様に届けることができるか、いつも考え、実践しています。
再生機も、十年前はMDが主流でしたがほぼCDへ完全に移行し、SDやCF、USBでの再生も増えてきています。十数年前はカセットテープでオペレートしていたと聞きますし、私が音響オペレーターとして活動を始めた頃もホテルにはまだカセットテープが再生できる機材があるのが当たり前でした。
叩いたら(再生ボタンを押したら)すぐ音が出るようにと、カセットテープを一番頭まで巻き戻した時には一度カセットデッキから取り出して、指で巻いて、少し茶色い部分が出るようにしてからデッキにセットしたりしていました。
私の時代にはMDが主流だったため、実際のオペレートでその技(?)を使う機会はほぼありませんでしたが、音響スタッフの研修で練習した思い出があります。
シーンごとにカセット一本を使用するため、音響卓の周りには「入場」「乾杯」などと書かれたカセットテープがたくさん積み上げられていたとか…。
それが今やiPadでオペレートができる時代。メディアがデジタル化することで、音質が劣化しない、音飛びのリスクがない、というメリットはもちろんのこと、取り扱いも簡単になり、編集や曲のチェックに関しても格段に素早くできるようになりました。
音響卓の周りに何十巻もカセットテープを積み上げてオペレートしていた時代から考えると、十数年でかなり変化したと言えますよね。
新しい演出ということで言えば、照明の世界はもっと変化したと思います。ムービングライトやムービングプロジェクターを使用する会場も増え、ゲストをあっと驚かせる演出効果が続々と登場してきました。
プロジェクションマッピングを使用しての新郎新婦入場などのオペレートも経験しましたが、プログラミングで音と照明を合わせるところからものすごく時間をかけてご準備をします。たった数分の演出に何時間も費やして、何度も何度もリハーサルをするのです。
結婚式が新しいエンターテイメントの世界に入ってきているような印象を受けました。結婚披露宴のオープニングが、まるでビッグスターのショーが始まるような演出なのです。
それが始まったのが5年ほど前のことですから、未来の結婚式はもっと様々な演出が出てくるのではないでしょうか。
いよいよ5Gの時代になり、映像の世界は特に大きな変化を迎えると言われています。参列したかったけど事情があって叶わなかったご友人や 故郷のおばあちゃんやおじいちゃんと生中継で繋がって、まるで会場にいらっしゃるように会話ができたり、海外にいるバンド仲間と中継を繋げて生演奏をしてもらい、その演奏に合わせて新郎が歌を歌ったりする余興など…そういった演出が当たり前になるかもしれません。
過去、VRのライブ中継を使った遠隔結婚式のニュースを見たことがありますが、いよいよ新しい時代に入ってきているんだなぁと感じました。
どのような時代になっても、どのような環境でも対応できるように、常に柔軟な姿勢でいたいと思っています。結婚式の新しい演出にも対応いたします。